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ボクサー犬は室内犬です
まず、ボクサー犬というのは、家族の一員として、人間との接触が必要な犬種です。
人と共に過ごす時間の少ない(人間との関係が希薄な)ボクサーというのは、この犬種の魅力ある稟性が充分に表現されないだけではなく、反応の悪いつまらない犬になります。
ボクサー犬は人の側で飼育するべき犬種で、庭先で飼うような犬種ではないと言われていますが、つくづくその通りだと実感します。
また、ボクサー犬は見た目にも大変美しい犬種だといえますが、手隙に眺めているような鑑賞犬ではなく、人と共に何かをしたり過ごしたりすることが必要な犬種だといえます。

ボクサー犬が室内犬であるという理由のもうひとつは、この犬種にとって極端な温度にさらされるということは、苦痛だからです。
ボクサー犬の被毛は体に密着した短毛であるため、寒さだけではなく、意外に思われるかもしれませんが、強い日差しなど、暑さに対しても無防備です。
また、犬の構造上、マズル(口吻)の長さというのは体温調節に大変大きく影響する要素なのですが、ボクサー犬のような短吻犬種というのは、特に暑さには非常に弱く、暑さによる事故が多いのです。寒い季節には、気管支に影響を受けやすい傾向もあります。
ボクサー犬にとっての適温は、人間とほぼ同様だと理解してください。人間にとってつらい気温は、ボクサー犬にとってもつらい気温です。

どれだけボクサー犬が暑さの影響を受けやすいかがよく判るのは、ゴールデンウィークの頃にもなると、日中の日差しの中では、ボクサー犬は既に暑がって口を開けて荒い息をしているのが見られますが、ハスキー犬やシェパード犬など毛量も多く長吻の犬種などは、全く暑がらずに涼しい顔をしているのに気付くと思います。

飼育本や日本のボクサー犬飼育者のサイトの多くには、ボクサー犬は屋外でも飼育出来ると書いてありますが、最近、それを真に受けている方々とのやりとりがいくつもありました。
屋外で飼育されているボクサー犬で、良いコンディションに作られている犬は極稀です。
「屋外での飼育にも適している(犬も良い状態で飼育出来る)」というのと、屋外でも飼育が不可能というわけではない(気候の影響を受けて状態は悪くなる)」というのとは、全く意味が違います

近年の温暖化で、夏は猛暑が続きます。
一般で販売されているような犬小屋やスチール犬舎では、断熱性や大きさから暑さ対策はとうてい無理だといえますし、現在は家屋が密接し、土や緑地ではなくコンクリートやアスファルトの土地面積が増えましたので、よしずなどの日陰があれば充分といえたのは昔の話だといってよいと思います。
これだけボクサー犬は暑さ・寒さに弱いと言われているにも関わらず、毎年のように、暑い時期には屋外で飼育されているボクサー犬の死亡事故は耳に入ってきますし、死に至らなくても暑さ負けで体調を崩しているボクサー犬が必ずいるのが現実です。

私がこの犬種を迎えるにあたっては「家族の一員として」と申し上げているのは、快適な環境で育成するということも当然含まれており、今まで当犬舎のボクサー犬をお渡ししてきた飼主様も、説明するまでもなく室内飼育を前提にされていましたが、最近接した方々とのやりとりから、「家族の一員として」というのは、人によって随分と差があるということが判りました。

日本では、犬は屋外で飼育されるものだという感覚が根強く、現在でも、犬を室内に入れることに抵抗のある方は多いというのは理解出来ます。
しかし、室内の一部にケージ・スペースを用意してやることすらせず、耐候性に劣る犬種を過酷な環境で飼育するというのは、家族の一員として迎えることなのでしょうか?
室内のケージで寝かしてやることすら抵抗があるという生き物が、どうしたら家族の一員となりうるのか、私には全く疑問に感じました。

そのような家庭には、ボクサー犬は向いていないと思います。
屋外飼育が条件であれば、日本の四季に適応している日本犬が最も適していますし、日本犬ならばある程度孤立することも苦にはなりません。家庭犬として利口でもあります。

ボクサー犬は活力に溢れていますし、日光浴も必要です。
気候の良い季節の日中は屋外で過ごすことがあっても、原則として室内の快適な環境での管理が必要です。
厳密に言えば、室内ではなくても良く、冷暖房の整った快適な犬舎を御用意いただくのでも結構ですが、どれだけの方がそんなものを御用意できるでしょうか?
室内飼育というのは、設備投資も少なく済み、経済的負担も少ない方法ですし、体調管理もしやすいという利点があるのです。
病気や怪我などの早期発見・早期治療にもつながり、愛犬の負担の軽減だけではなく、飼主の経済的負担も結果的に軽く済むのです。

スキルある方であれば、犬の状態を見ながら様々な工夫をして、ひどく悪い状態にはせずに屋外飼育することは可能かもしれませんが、初心者レベルの方が、どれだけの工夫をしどれだけの判断がつくかは疑問に思います。夏は暑くて蚊が飛び交う中、秋冬は北風や寒さの中、時には雨等の悪天候の中、ほとんどの方は仕事で疲れて帰宅してからになると思いますが、一体どれだけの方がどれだけの時間、愛犬の為に時間を割いて屋外で過ごせるか、私は疑問に思いますし、屋外飼育されている犬というのは、孤立しがちなのが現実です。

尚、この世界中の情報が飛び交う現代においても、訓練性能を重視するという日本の使役犬団体の審査員が、「室内飼育は稟性・性格を甘くする」といった事を言っているそうですが、決して室内飼育によるものではなく、あくまでも接し方の問題です。
今時、耐候性に優れたシェパードですら、室内で飼育されていることは多いですし、稟性や気質が非常に重要視されるIPO・シュッツの世界大会に日本代表として出場するようなシェパードも室内飼育であることからも、室内飼育云々というのはナンセンスであるとおわかりになると思います。
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