ボクサー犬ブリーダー ドナルーボクサーズ コラムと私考

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日本チャンピオン展:3
このカテゴリの連載は、2006年8月末、PDの会費切れと同時に既に終了しています。

日本チャンピオン決定審査会、体験談の続き

さて、お昼も終わると、午後の比較審査が始まります。
午前中の個体審査とは打って変わって、こんなに人が来ていたのかと思う位、観ている人も増えています。

PDのボクサー犬の審査員は4〜5人いて、日本チャンピオン展やある程度の頭数が集まる単独展では、これらボクサー犬の審査員が審査にあたります。
5頭以上の出陳があれば、ボクサーの審査員が呼ばれて審査にあたるそうですが、地方なんかの審査会だと、ボクサー犬は何頭も集まらないことがあるらしく、ボクサーの審査員が審査するのではなく、ボクサー犬はわからないと自認する他犬種の審査員がボクサー犬の審査もするのだそうです。

比較審査では、各クラスごとに審査が行われますが、PDでは同じクラスの牝を先に審査し、次が同じクラスの牡の審査となります。
リングの中には担当審査員だけではなく、他の審査員も全員いて、書類挟みの書類の他、出陳目録も持っています。
各クラスごとに、サブの審査員と、サブではない審査員もいるようですが、誰があたっているのかよく判りません。担当審査員が他の審査員と話していることもあるし、全く話していない事もあるので、サブの審査員がどういった働きをしていてどの程度審査結果に影響を与えているのか、私には判りません。友人に説明してもらったことがありますが、サブの審査員が全く関わらずに椅子に座ったままだったこともありますし、何だか漠然としていて解りませんでした。とにかく、どのクラスの審査中でもすべての審査員がリング内にいます。

審査は、まずはゼッケン番号順に並び、ものすごくゆっくりとタラタラと歩かされます。何周か歩かされたかと思うと、しばらく止められたままだったりもしますし、今度は早足で何週かさせられたりもします。
担当審査員が同じでも、最初からトロットをさせられたり、タラタラと歩かされたりと、クラスによって歩度が全く違う場合もあります。
私の犬のクラスでは、最初から相当の速さのトロットで、グルグルと回りました。まだ歩かせるのか、まーだ決めないのかと思う位、15周位したんではないでしょうか。もしかして、耐久テストをしていたのでしょうか?
やたらグルグルと何周も走らされて、ハンドラーが息を切らしていた為、お礼も申し上げていませんでしたが、「オストラがんばれー」と声援を送っていただいた方、ありがとうございました!ちゃんと聞こえていました。感謝です。

そうこうしている中、順番を並び替えて、実質、席次をつけられます。
個体審査を予めしていて、あとは比較で席次をつけるだけなのだから、もっとすぐに決まりそうなものだと私は思うのですが、PDの審査会というのは、先にも書いたように、比較審査でも大きなリングを変な速さで何周も歩かせる上、そのうちのかなりは歩様も乱れていたりして、もっと効率よくならないのかなぁと私は感じるのですが、半日かけてそれ程多くない犬種の審査をするわけですから、効率とかいうものではなく、これはお祭りなのだと思い直しました。
ハンドラーは大変で運動会みたいですが、比較審査でも呼び込みがすごくて賑やかですし、応援の声援もあって、雰囲気も運動会によく似ています。

別の時にも書きましたが、PDの審査会は、ドッグショーやATIBOXの審査会のように上位数頭をピックアップする方式ではなく、末席まで並び替えて席次をつけますが、面白いのが、審査結果として席次には触れず、タイトルと評価というものが与えられます。
クラス最上位の犬にチャンピオンというタイトルが与えられ、クラス2席以降でチャンピオンに準ずる犬複数にはチャンピオングループというタイトルが与えられます。その下がリザーブチャンピオンで、さらにVグループ、優グループ、その下が席次、というタイトルがありますが、成犬組ではほとんど全ての犬がリザーブチャンピオン内で、その下になる犬というのは、失格になるような犬や訓練資格がないような犬だけです。
タイトルの他に、V(=優)・SG(=特良)・G(=良)・A(=可)・M(=不可)・O(=失格)の6つからなる評価というのも与えられますが、最上位の犬から最下位の犬まで同じV評価で、SGになる犬というのはやはり審査対象外となるような犬だけです。

これらのタイトルや評価というのは、お客さんの気分を害さず喜んで貰う為に、席次を言うよりも聞こえの良いよう、サービスのようなものなのだと思います。
こういった評価方法をSVに倣っていると勘違いしている人もいるようですが、SVのようなシビアに評価をつけている団体と同様に語るのは、違います。

比較審査はそんな風に、若いクラスから行われていきます。
成犬組の審査は一番最後となりますが、成犬組の最上位の犬のみが日本チャンピオンなのだそうで、他に次席以降のチャンピオングループというタイトルまでが、PDの血統書に書かれるタイトルなのだそうです。

私の犬は、成犬牝組でした。
そのクラスの犬がリングに入って並び、審査が始まっているというのに、ある犬に担当審査員ではない審査員が、「この犬○○さんの繁殖犬でしょ?随分良くなったねー」と話し掛けながら寄って行ってました。PDの審査会では、こういうのも普通にまかり通っているらしく、ビックリしました。昼休みに、知っている出陳者と話していて、他の出陳者をあれは誰かと尋ねていたりというのもあります。
担当審査員は、個体審査の時に服従審査の合否が書かれた紙っ切れを見せて、手元に書類にも何か書いていたはずなのに、「この犬は服従合格したんだっけ?」となぜか尋ねてきたりしました。

PDの審査というのは、明らかな欠点で落とすという見方をするのではなく、一部に欠点があっても全体にそれを補えるような長けた犬であれば、高い評価を得たりします。ドッグショーでは目立つ欠点のある犬は出陳されませんので、審査会はこの点、ドッグショーとはだいぶ異なります。
私が初めてPDの審査会を見た時、顕著な欠点があるにも関わらず、評価を得ている犬達が多いのにビックリしたのですが、その時の友人の説明はそういうことでした。

私の犬、Ostraは、イタリア・ナンバーワン犬舎のColle dell'Infinitoの犬で、この犬舎はヨーロッパのボクサーを愛するPDの会員の皆様には大変馴染みの深いTeck del Colle dell'Infinitoや、Olimpio del Colle dell'Infinitoといった、歴史に残る名種牡を作出しており、近年のATIBOXにおいても上位入賞犬が多いという結果はもちろんご存知だと思います。
Ostraはイタリアのボクサー犬だけあって、品格は抜群です。しかし、この犬にはアンダーがきついという欠点があり、評価は審査員によって分かれるところだと思います。

今回担当の審査員は、比較審査の際に「この犬は上位を争えるような良い構成の犬だけど」と言っており、個体審査後、この審査員と話した方によると、かなり褒めていたそうで、とても良い、ただし、アンダーが強すぎるのが残念だ、と言っていたそうなので、どんなに良い犬でもアンダーがきついのは×という評価で席次を下げたようです。
席次というのはその審査員の主観による評価ですので、私は今回のような結果でも構わないと思っていますが、後日、アンダーのような明らかな点に関しては、審査基準を統一した方が良いのではないか、といった会話もありました。
そういった統一性というのは、私はPDには期待したことはありませんが、もし統一するのであれば、ドッグショーのようなシビアな基準で欠点を見るのでいいと、私は思います。

私は、自分の犬はもちろん可愛いですし、深い愛情もありますが、犬種として見る場合、誰の犬かというのはどうでもいいことで、その犬の良点も欠点もかなり冷めた目で見ています。
私と交流がある方ならご存知ですが、Ostraに関して、周囲の人達がどんなに褒めていても、私はOstraをかなり冷めた目で見てきました。
しかし、今回審査会に参加して、PDのドイツボクサーとの比較では、Ostraの質と品格は抜群だと、私はかえってOstraを見直した位ですし、これまでにOstraを見た方が絶賛した理由が、今更ですが、よく解りました。
結果はその審査員の評価ですから、私はあれはあれでいいと思っていますが、審査員のつける席次でしか犬を判断出来ない人が、残念ながらPDには多いですから、今回の結果でOstraが評価されるとすれば、繁殖元であるColle dell'Infinito犬舎主のAlessandro Tanoni氏や輸入に関わった方は、とても不本意でしょうし、私も残念に思います。

残念といえば、牝組にはボクサー犬らしいと感じる、とても素敵な牝がいたのですが、服従がダメだったそうで、席次も評価も低かったです。
ちょっと話がずれますが、この犬も目録で両親を見て納得したのですが、父犬は、このサイトからもリンクしてありますが、T氏の牡で、優れた個体ですし、今年の牡のチャンピオンの父犬でもあります。
母系は、やはりこのサイトからもリンクしているもう一方のT氏が、ドイツから輸入した犬の子孫です。私がボクサー犬っぽい品のある犬だなぁと思って見る犬は、血統を見ると、この方が入れた犬の子孫ばかりです。
繁殖に使う個体の質というのは大事だよなぁ、と思わされます。

牝組の審査が終わると、残るは成犬牡組となります。
今年、チャンピオンとグループに入った犬達の数頭は同じ父犬の子で、その父犬はOstraと交配予定でしたし、子達も若い頃から有望で、飼い主達が色々と大切に考えてきたのを知っているので、入賞して本当におめでとうと思いました。

PDの審査会は、各クラスごとの審査のみで完結します。
いわゆるBOB決定もありませんし、他犬種と競うこともありません。
PD内のタイトルの日本チャンピオンで完結していて、日本チャンピオンは海外の審査会への出陳資格を得るとか、そういうこともありません。
PDには面白い規定があって、日本チャンピオンを2回獲ると、「後進に道を譲るため」に、翌年以降は出陳できないそうです。「後進に道を譲るため」とは、面白いです。

さて、PDの日本チャンピオン展では、比較審査の席次決定後、審査員による寸評というのがあります。
各犬について審査員がハンドラーに寸評を聞かせるのですが、Ostraの担当審査員の寸評は、「馬鹿に歯が出過ぎ」でした。
それを審査後にハンドラーをした者から聞いた私は、あまりに品位に欠けるので唖然としました。あなたのようなとてもエライ審査員があんなに品位がないとは、一体どういう物言いでしょうか、とお話を伺おうと思いましたが、審査員達は牡組の審査が終わると、私の待っていたゲートとは反対方向の本部テントにさっさと行ってしまい、うかがう機会を逃しました。

以上、PD独自の訓練資格であり警察犬になる為の訓練でも何でもないPBH1という訓練資格の取得と、認定期間に2年と永久とがある種犬認定と、以上をこなしたPDの成犬クラスの犬の中から日本一のボクサー犬を決定するという、日本チャンピオン決定審査会への出陳を、実際に体験してみた話でした。

今回の審査会では、お礼を言わなくてはならない方々がいます。
いつもおいしい差し入れをふるまってくださる方、比較審査の時に応援してくれた方、ご挨拶しないままでしたが、比較審査後にお声がけくださった方、その他お世話になった方々、そして辛抱強い友人、本当にありがとうございました。今後のご活躍をお祈り申し上げます。
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